意外すぎる材料で改良!高性能熱伝導グリスの自作実験

DIY!!

DIYでも作れることが分かった熱伝導グリスをさらに高性能化してみました!
格安で入手できる驚きの材料とは?
どのくらいの性能を発揮できる?
どうすれば性能が良くなるのか?
自作して調査を行いましたので個人的な見解と合わせてご紹介します!

今回使用した材料

ポリッシングパウダー研磨剤 2000番 アルミナ粉 20g
Amazonで481円(2023/3/3現在)
https://amzn.to/3kHYAh3
アルミナ(酸化アルミニウム)は熱伝導率がかなり良いです!(30W/mK)
粒子のサイズも色々ありますが、微粉の2000番以上が良いです!
粉の径が安定しているので、性能も安定すると思います。
もちろん各種研磨作業にも便利に使えます!
性能は自作した中では一番でしたが、なぜか粘りが出るため薄く塗るのが少し難しいです。
また研磨作用が強いため、塗っているとヒートシンクのアルミが削れて灰色になってきます。

サンワサプライ シリコングリス(銅粉入り) 2g(4.5W/mK)
Amazonで394円(2023/3/3現在)
https://amzn.to/3y3h9PX
市販品の意地を見せました!
銅粉がとにかく細かいため、薄く塗り広げることができます。
テスターでは導電性は確認できませんでした。

酸化マグネシウム(便秘薬) 90錠入り(約40g)
Amazonで703円(2023/3/3現在)
スペック上はアルミナの倍の熱伝導率!(60W/mK)
今回は錠剤を完全に微粉にすることができませんでしたが、
うまくやればもっと性能を引き出せたかもしれません!
80%が酸化マグネシウムですが、添加物も入っています。
今回は何ともありませんでしたが、影響は未知数なところがあります。

3M銅ベース焼付防止潤滑剤(アンチシーズ)255g
Amazonで2395円(2023/3/3現在)
車・バイクのエンジン・マフラー・ブレーキ周りのメンテナンスの必需品なので、
比較的持っている方は多いと思います!
熱伝導グリスとしても使えなくはないと思いますが、銅粉がやや粗いためか本来の性能を発揮することは出来ていないと思われます。
また、銅粉以外にも粉体が入っていると思います。詳しい組成と影響は不明です。
有機溶剤の匂いがするので、揮発分が多いと思われます。
テスターでは導電性はありません。

その他の材料

鉛筆(黒鉛) 6B
80%以上が黒鉛です!熱伝導率は100W/mKを超えます!
ただしこれもうまく微粉にすることができず、
本来の性能を発揮しきれていないと考えられます。
また、黒鉛だけでは導電性が生まれてしまう(kΩオーダー)のと、
周りが真っ黒になってしまうのが欠点です。

自作銅粉(銅線から削ったもの)
銅の熱伝導率は圧巻の350W/mKですが、
DIYではうまく微粉にすることが難しく、粉の径が大きすぎるため、
表面に凹凸が生まれてしまい本来の性能が全くといってよいほど発揮できませんでした。
他に使えそうな金属紛としてはアルミや銀がありますが、
いずれにしても金属の微粉(μmオーダー)を作る方法を編み出さないと厳しいです!
なお銅粉だけでは導電性が出ると思われるので、
ほかの絶縁性のある粉体と混ぜる必要がありそうです。
シリコンオイルも含め、ある程度以下の割合になれば導電性はなくなります。

前回の動画
驚愕の性能!激安の熱伝導グリスの自作方法をご紹介します!

タルクを使った熱伝導グリス!
タルクの熱伝導率はそこまで良くない(10W/mK程度)ですが、
価格が最安レベルで作業性も非常に良く、
薄く塗り広げることができるので性能を発揮しやすいです!

今回のまとめ

熱伝導性能の順位(あくまで目安)
市販品(銅粉)、自作アルミナ、自作酸化マグネシウム、自作黒鉛、アンチシーズ
自作タルク、市販品(シリカ?)、自作銅粉の順
性能は市販品銅粉、自作アルミナが頭一つ抜けていると思います。
あとは自作銅粉以外はそこまで大きな差はないと思います!

また、単純に材料の熱伝導率だけでは判断しきれない部分も大きいです。
塗りやすいものほど安定して薄く塗れるので、性能を発揮できる可能性が高まります。
シリコンオイルの割合や粉の径、塗り方の上手い下手などでも大きく変化します。

11 COMMENTS

1epton

面白い実験ですね。
ファインセラミックスを作るようなミルは一般的ではないですし、粒径の確認もなかなか大変そうですね。
今回は便秘薬なのでマグネシウムですがアルミは錠剤の基材に使われることが多いですがどのぐらいの大きさなのか…。
一つ思うのは錠剤でいけそうなら一度水に溶かしてしまうほうがいいような気がします。
銅は硫酸銅などから析出させる方法とかでしょうか、ただこれも粉体にするのはかなり難しそうですね。

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なっぱにゃんこ

追加実験 待ってました。 とても参考になります。 
やっぱりアルミナいいみたいですね。
研磨剤なら細かい粒度のものも買えますね。
私もシリコーンオイル買ったので、早速試してみます。

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yashi kamo

色々身の回りのもので実験したくなりました。
今使ってるタンブラーの錫や女房のコンシーラなど(笑)
金属粉体を扱っているメーカーもあってとても興味が湧きました。

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takada9600

すごい良いです。出てきた容器に見覚えがあったので家を探したら、ありましたアルミナ! 
しかも #4000と#6000がそれぞれ2本も。
ちょうどシリコンオイルもあるし絶対作ってみようと思います。ありがとうございました。
きっと何か研磨しようと買ったんだろうな覚えてないけど。

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IRFP460LC

大変興味深い動画をありがとうございます。材料の熱伝導が高くても、放熱グリスにすると必ずしも高性能になるわけではないというのが意外でした。またシリコーンオイルと混ぜたときの物性の違いもかなり興味深いですね。粒子の大きさが影響しているのでしょうか?私もこの動画に触発されて色々と試してみたくなり、カーボランダムやダイヤモンド粒子の研磨剤をポチりました。流石にダイヤモンドともなるとそれなりの価格がしてしまいますので、格安で高性能な放熱グリスを自作するという本来の目的から逸脱してしまっているような気がしないでもないですが・・・

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くろちゃまめ

またまた続編ありがとうございます。炭化ケイ素の熱伝導率は焼結体の場合の値ですので、シリコーンに混ぜ込んだ時はアルミナと変わらないかもしれませんが研磨用途では結構メジャーみたいなので、gあたりの単価ではコスパも悪くなさそうです。絶縁性も十分です。

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satoshi kojima

根気の必要な実験の数々、お疲れ様でした。本当に頭が下がります。
今回の実験で、グラファイト粉が、かなりの電導性が有るというのは
接点復活剤として使えるかも?という感想を持ちました。(市販の接点復活剤は液状が多い)
カッパーグリスも私は知りませんでしたし、勉強になる事だらけでした。有難うございます。

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ほわいとまいく

銀やダイア粉末用いた高性能グリスもあるけど、さすがにこの実験は厳しいですよね(汗)

もし可能なら、液体金属グリスの自作とかもみてみたいです。
PC用は1gで2000円前後しますが、ベースはガリウム、インジウム、スズ合金のガリンスタンが近いようです。ただ液体とはいえ金属などで導通するのと、アルミとの相性は悪いみたいですが。

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zyx3000

市販の安い熱伝導グリスに顔料用に買ったアルミ粉末を練り込んで使っています。
効果があるかもしれないと思ってやっていましたが、動画がとても参考になりました。
アルミ粉末はエポキシ接着剤に混ぜてヒートシンクを接着したい時にも使っています。
硬化後の硬さが増すので補修用途など結構使い道があります。

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